1. 近年、女性の社会進出の増加、就労形態の多様化、地域における子育て機能の低下と子 どもを取り巻く環境は急速に変化し、家庭教育及び地域教育の機能が弱体化している。このような状況の中で幼児教育は家庭内だけでなく、社会全体の支援が求められ、幼児教育 に携わる者への求めは、多様かつ高度なものになってきている。保育学科では、こうした社会的ニーズに応えて以下のような幼稚園教諭養成を目指したい。
    1. 建学の精神を基盤とし、豊かな人間性と教養をそなえた人材の育成を図る。
    2. 幼児教育に関する知識や指導技術を深めるとともに、児童観・人間観の確立を目指す。
    3. 種々の異なる状況下にある子どもたちと、その保護者である養育者に対する支援の知識と技術の習得をとおしてこれを結実させるよう努める。
    4. ノーマライゼーションの理念に基づいた障害のある子どもへの専門的な教育や家族への支援の重要性を確かなものとする。
    5. 家族理解、母親理解や育児業務、幼児虐待への対応など現代的課題に対応できる教育の実践をはかる。
  2. どのような幼稚園教諭を養成するのか
    幼稚園教育に関する専門的知識と技術を備える豊かな人格見識の習得は当然として、幼稚園教諭としての使命感、人間の成長や発達についての深い理解、幼児に対する教育的愛情、教科などに関する専門的知識、広く豊かな教養、さらにこれらを基盤とした実践的指導力のある人材の育成を目標とする。
    挨拶や礼儀作法を身に付けさせるため、「茶道」を開講し日本伝統文化の教養を深める。こ の授業科目は将来幼稚園教諭として活躍するうえにおいて求められる教養や子どもの感性 を育てる教育においても充分役に立つのではないかと考えられる。
  3. 教育課程の編成の考え方及び特色 「教育職員免許法」「教育職員免許法施行規則」に基づく教育課程を中心とした「西日本短期大学保育学科教育カリキュラム」により幼稚園教諭に必要な基礎的な教養と専門的知 識及び技能を身に付けさせる。
    幼稚園教諭二種免許状取得のために必要な養成指定科目を「幼稚園教諭必修科目」として開設する。中でも、授業科目「保育内容」は「幼稚園教育要領」に基づき、健康、環境、言葉、人間関係、音楽表現、造形表現の分野を理解させ、その表現力を豊かに育てるにあたっての環境・動機づけ、援助、教材等を学ばせる。
    また、幼稚園を含む学校の現状、幼稚園における幼稚園教諭の役割、教育実習の意義、方法などについて学修を深めると共に、実習事前事後の指導についても遺漏なきを期し最 終的には「保育・教職実践演習」において教職必修科目のまとめを行う。
    養成指定教科目の教科に関する科目は、「声楽」「器楽」「造形」「運動」「遊び」「ピアノ」「日本語表現」の分野とし、特にピアノは、幼児期の「習い事」の種類が多様化しており、ピアノ未習得の学生もいるため、その対応としてレベル別に初心者、中級者、上級者とグループを分けて、幼稚園現場の期待に応え得るようマン・ツー・マン実技指導を行う。
    養成指定教科目の教育実習では、社会に多様な幼児教育機関があることや若い人材を待望する人々がいかに多いか認識させ、幼稚園教諭になることの意義を自覚させる。また、障害児の人たちに実践的に対応できるように最新の知識を伝え、実践力養成のための経験を積んでいけるような指導も行う。
    以上のことから1年次は専門職として求められる科目を重点的に配置し、2年次には実習と学習を重ねて臨床性を磨き、幼稚園教諭としての素養を総合演習を通して培っていく。